ヘルスチェック
自分の子供のこんな症状に注意!
・よく立ちくらみやめまいを起こしますか?
・立っているときに気分が悪くなることがありますか?
・朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪いですか?
・動悸や息切れがありますか?
・時々強い腹痛がありますか?
・乗り物に酔いやすいですか?
・疲れやすいですか?
起立性調節障害の症状
乳児:手足が冷たい。
2〜3歳ごろから:乗り物に酔いやすい。すぐに疲れておんぶや抱っこを求める。
軽い腹痛を繰り返す。寝起きに顔色や唇の色が悪い。
5〜6歳ごろから:入浴時に気分が悪くなる(湯あたり)。少し動くと動悸や息切れを起こしやすい。
朝がなかなか起きられない。朝礼などで長時間立っていると脳貧血状態になり、
倒れやすい。急に立ち上がると真っ青になって、立ちくらみを起こす。すぐに疲れる。
10歳ごろから:胸の痛みを訴える。肩こりやからだのあちこちの不調を訴える。急に激しい運動をする と気分が悪くなり倒れる。
起立性調節障害は低血圧が原因で、年齢によっても症状が違ってきます。
肩こりやめまい、腹痛などの典型的な症状は、小学校高学年以降の思春期によくみられます。
どんな病気ですか?
突然立ちくらみやめまいなどが起きる
起立性調節障害は、成長期の子どもに多く起こる病気の一つで、血液の循環を調節する自律神経の
失調による低血圧が原因です。
低血圧体質の子どもは、立ち上がったときに脳の血流量が少なくなり、脳貧血状態になって
フラッと倒れたりします。10歳ごろから症状が現れることが多く、起立性調節障害は子どもの
5〜10%にみられ、女の子の比率がやや高くなっています。
起立性調節障害の子どもは、立ちくらみやめまいのほかに、腹痛、動悸、疲れやすいなどの
症状を伴います。繰り返し腹痛が起こる子どもも多いことから、反復性腹痛ともいわれています。
季節の変わり目に症状が出ることが多く、なかでも春から初夏にかけて最も多くみられ、
症状が悪化する割合も高くなります。
起立性調節障害には、夜は元気だったのに、朝になって目が覚めたとき気分が悪くなり、
頭やおなかが痛くなったり、悪寒がして、なかなか起きられないなどの症状があります。
こうした状態は午前中いっぱいずっと続くことが多く、学校へ行っても午前中は体調がすぐれません。
このため保健室で休んだり、授業に集中できずに成績が下がることがあります。
中学受験の準備期と重なると、成績や将来に対する心理的葛藤が生まれ、心身症に移行する例も
あります。
原因
自律神経の失調からくる低血圧体質
起立性調節障害は、人間の意思と関係なく働いている自律神経の調和がとれなくなることが原因です。
子どもの訴える症状は、成人の自律神経失調症とほぼ同じです。
自律神経は、人間のさまざまな内臓や器官の機能を自動的に調節しています。
自律神経には、互いに相反する働きをする交感神経と副交感神経の2種類がありますが、
必要に応じてどちらか一方の神経が優位となります。
例えば、運動をすると交感神経の働きが活発になって心臓の拍動が速くなり、休憩すると
副交感神経の働きが活発になって拍動はゆっくりになります。
起立性調節障害の子どもは、寝ている状態では血圧が正常なのに、起立したときに、特に
下半身の静脈系の緊張が弱いために血圧が低くなります。血圧や心臓を抑制する働きをもつ
副交感神経が異常に亢進して、血管迷走神経反射が起き、一時的に低血圧を起こすためと
されています。
人間が立ち上がると、重力の影響を受けて、寝ていたり座ったりしているときに比べて下半身の
静脈血管内の圧力は高くなります。健康な子どもの場合は、この刺激に自律神経が反応して
下半身の血管を収縮させ、下半身に血液がたまるのを防いでいます。急に立ち上がっても、
からだを循環する血液の量を一定に保っているわけです。
しかし、起立性調節障害の子どもは、この血管の収縮反射のメカニズムがうまく働かず、
血液が下半身にたまってしまいます。このため、脳の循環血液量が少なくなって脳貧血を起こしたり、
心臓に戻る血液の量が少なくなって心拍数が増え、動悸などの症状が現れます。
子どもの自律神経機能は成長するにしたがって発達しますが、基本的な要素は親から受け継いで
いるものです。
起立性調節障害の子どもの場合、家族のなかに同じような症状をもつ人が約80%いることが
わかっています。家族の構成でみると、現在同じ症状をもっているか、過去に経験したことのある
母親が70%と高く、父親も25%が小児期に同様の症状を経験しています。
きょうだいにも約半数に同じ症状が現れています。こうしたことから起立性調節障害を起こす
低血圧体質は遺伝するものではないかともいわれています。
症状
激しい腹痛や立ちくらみが現れる
新生児室にいるときから動脈がうまく開かず、手足を流れる血液量が少ないため、手足が冷たい
乳児がいます。
このような子どもは、2歳を過ぎた頃から繰り返し強い腹痛を訴え始めます。しかし、5〜10分ほど
親におなかをさすってもらい、トイレに行くと症状がなくなります。食欲があり、体重も普通の子どもと
同じように増えているのに腹痛の症状は続きます。
腸の蠕動運動がうまく調節できないために痛むのではないかといわれていますが、成長に従って
起立性調節障害の兆候がはっきりしてきます。
元気なのにすぐに疲れたといっておんぶや抱っこを求めるのは、幼児の起立性調節障害の兆しです。
2〜3歳になると乗り物酔いをするようになり、5〜6歳からは、立ちくらみやめまいが起きて、
入浴時に気分が悪くなったりします。さらに、少し動くと動悸や息切れがするなどの
症状が現れてきます。
一般的には10歳くらいから起立性調節障害の症状が現れることが多く、特に胸の痛みを訴える
子どもが増えてきます。
高校生になると、男子の約75%は症状が現れなくなりますが、女子の場合は約40%にとどまり、
大人になっても起立性調節障害が続くことがあります。
脳腫瘍の初期症状や鉄欠乏性貧血などの病気でも、起立性調節障害によく似た症状が現れます。
立ちくらみを繰り返す場合は、まず医師の診察を受けることが大切です。
診断
問診や心電図でほかの病気もチェック
診断は問診と起立試験、一般検査で行いますが、特に問診が重要です。
[問診]
問診では寝起きや午前中の体調が悪くないか、特に新学期に調子が悪いなどの症状がないかを
聞かれます。また、家族に同じような症状をもった人がいるかも尋ねられます。
次に、立ちくらみやめまいを起こしやすい、立っていると気分が悪くなりひどいときは倒れる、
入浴時や嫌なことを聞いたときに気分が悪くなる、少し動くと動悸や息切れがするなどの、
起立性調節障害特有の症状があるかどうかも鑑別のために聞かれます。
また顔色のほか、食欲、強い腹痛、乗り物酔いなどの有無も診断の重要なポイントです。
[起立試験]
起立試験は、安静にしているときと立っているときの脈拍数と血圧を測り、心電図をとります。
試験結果は、起立性調節障害の診断をする際に、問診に対する客観的データとなります。
安静時に比べて立っているときの脈圧の低下が著しい、収縮期血圧低下が目立つ、脈拍が
1分間に21以上増えるなどの検査結果が出れば、起立性調節障害の可能性があります。
[検査]
起立性調節障害の診断には、ほかに病気がないことをはっきりさせる鑑別診断が大切になります。
貧血や心疾患、結核などのほか、慢性副鼻腔炎といった慢性感染症、てんかんについても
調べます。
必要に応じて、血球数や炎症反応などを調べる血液生化学検査、尿検査、胸部X線検査などを
行います。一連の検査でほかの病気でないことを確認のうえ、最終的に起立性調節障害と
診断して治療を開始します。
治療
最後に治療についてお話しします。
治療は、子どもと保護者の心に思いを馳せて、行ってください。
治療の導入に際してまず行うことは、
ODの発症機序を子どもと保護者に十分に理解してもらうことです。重症のODの子どもは強い不安を持っています。
強い症状に対する不安、周囲から仮病扱いされることへの苛立ち、さらに親子関係における様々な葛藤、学校生活でのトラブル、学校不信といった心理社会的背景を抱えています。
医療者は、このような子どもの心のうちを理解した上で、ODとは、どのような病気なのか、メカニズムも含めて十分に説明する必要があります。
たとえば、検査結果の血圧記録を示して子どもに説明すると、説得力があり、子どもは自分の症状の原因を知ったことで、ずいぶんと安心します。子どもと医療者の信頼関係が出来て、
その後の治療がすみやかになります。
一方、保護者に対しては、OD症状を単なる仮病と見なさないように、説得します。
ODの子どもは、放っておくと一日中、ごろごろして、テレビやゲームをしています。
勉強の集中力はひどく低下するので、周囲の大人はどうしても怠け癖と見なしてしまいます。
しかし、これは正しい考えではありません。
親に対しては、『決して焦らず、子どもを信じて見守る』ことの重要性を説得しましょう。
具体的な日常生活の注意点軽症例では、非薬物療法から開始します。
運動療法では、散歩程度の歩行にします。
ODの多くは運動が嫌いですが、横になりっぱなしならないようにします。
また心拍数が120を越えない程度の軽い運動は毎日行います。
起立時には、いきなり立ち上がらずに、30秒程かけてゆっくり起立します。
また歩き始める時にも、頭位を前屈させれば、脳血流が低下しないので起立時の失神を予防
できます。
また起立中には、足踏みをしたり、両足をクロスに交叉すると血圧低下が防げます。
早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを心掛けるようにしますが、これは実行困難です。
声かけ程度にしておきます。
気温の暑い場所は避けましょう。高温の場所では、末梢血管は動脈、静脈とも拡張し、
また発汗によって脱水をおこし、血圧低下を来します。体育の授業を見学させる時は、
必ず保健室などの室内において、座って待機するようにします。
下半身への血液貯留を防ぎ、血圧低下を防止する装具があります。
弾性ストッキングやODバンドのような加圧式腹部バンドは、適切に利用すると効果があります。
食事の注意点ですが、ODの子どもは塩辛いものを好みません。
循環血漿量を増やすため、やや多めの食塩摂取は効果があります。
薬物療法非薬物療法で改善しない場合、あるいは、起立保持が困難で日常生活に支障を来たしている重症例では、薬物療法も併用します。
薬物療法を世界的に見ると、現在では、ミドドリンが最も多く使われています。
抵抗血管である細動脈と、容量血管である静脈の両方に作用し、
かつ副作用が少ないため使い易いです。1回2mgを1日2〜3回服用します。
ジヒドロエルゴタミンは1mgを早朝起床前、昼食後2回服用する。
静脈血管を特異的に収縮させます。アメジニウムは10mgを朝夕食後2回服用します。
これは心拍増加をきたして症状が悪化することがありますので、注意が必要です。
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自分の子供のこんな症状に注意!
・よく立ちくらみやめまいを起こしますか?
・立っているときに気分が悪くなることがありますか?
・朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪いですか?
・動悸や息切れがありますか?
・時々強い腹痛がありますか?
・乗り物に酔いやすいですか?
・疲れやすいですか?
起立性調節障害の症状
乳児:手足が冷たい。
2〜3歳ごろから:乗り物に酔いやすい。すぐに疲れておんぶや抱っこを求める。
軽い腹痛を繰り返す。寝起きに顔色や唇の色が悪い。
5〜6歳ごろから:入浴時に気分が悪くなる(湯あたり)。少し動くと動悸や息切れを起こしやすい。
朝がなかなか起きられない。朝礼などで長時間立っていると脳貧血状態になり、
倒れやすい。急に立ち上がると真っ青になって、立ちくらみを起こす。すぐに疲れる。
10歳ごろから:胸の痛みを訴える。肩こりやからだのあちこちの不調を訴える。急に激しい運動をする と気分が悪くなり倒れる。
起立性調節障害は低血圧が原因で、年齢によっても症状が違ってきます。
肩こりやめまい、腹痛などの典型的な症状は、小学校高学年以降の思春期によくみられます。
どんな病気ですか?
突然立ちくらみやめまいなどが起きる
起立性調節障害は、成長期の子どもに多く起こる病気の一つで、血液の循環を調節する自律神経の
失調による低血圧が原因です。
低血圧体質の子どもは、立ち上がったときに脳の血流量が少なくなり、脳貧血状態になって
フラッと倒れたりします。10歳ごろから症状が現れることが多く、起立性調節障害は子どもの
5〜10%にみられ、女の子の比率がやや高くなっています。
起立性調節障害の子どもは、立ちくらみやめまいのほかに、腹痛、動悸、疲れやすいなどの
症状を伴います。繰り返し腹痛が起こる子どもも多いことから、反復性腹痛ともいわれています。
季節の変わり目に症状が出ることが多く、なかでも春から初夏にかけて最も多くみられ、
症状が悪化する割合も高くなります。
起立性調節障害には、夜は元気だったのに、朝になって目が覚めたとき気分が悪くなり、
頭やおなかが痛くなったり、悪寒がして、なかなか起きられないなどの症状があります。
こうした状態は午前中いっぱいずっと続くことが多く、学校へ行っても午前中は体調がすぐれません。
このため保健室で休んだり、授業に集中できずに成績が下がることがあります。
中学受験の準備期と重なると、成績や将来に対する心理的葛藤が生まれ、心身症に移行する例も
あります。
原因
自律神経の失調からくる低血圧体質
起立性調節障害は、人間の意思と関係なく働いている自律神経の調和がとれなくなることが原因です。
子どもの訴える症状は、成人の自律神経失調症とほぼ同じです。
自律神経は、人間のさまざまな内臓や器官の機能を自動的に調節しています。
自律神経には、互いに相反する働きをする交感神経と副交感神経の2種類がありますが、
必要に応じてどちらか一方の神経が優位となります。
例えば、運動をすると交感神経の働きが活発になって心臓の拍動が速くなり、休憩すると
副交感神経の働きが活発になって拍動はゆっくりになります。
起立性調節障害の子どもは、寝ている状態では血圧が正常なのに、起立したときに、特に
下半身の静脈系の緊張が弱いために血圧が低くなります。血圧や心臓を抑制する働きをもつ
副交感神経が異常に亢進して、血管迷走神経反射が起き、一時的に低血圧を起こすためと
されています。
人間が立ち上がると、重力の影響を受けて、寝ていたり座ったりしているときに比べて下半身の
静脈血管内の圧力は高くなります。健康な子どもの場合は、この刺激に自律神経が反応して
下半身の血管を収縮させ、下半身に血液がたまるのを防いでいます。急に立ち上がっても、
からだを循環する血液の量を一定に保っているわけです。
しかし、起立性調節障害の子どもは、この血管の収縮反射のメカニズムがうまく働かず、
血液が下半身にたまってしまいます。このため、脳の循環血液量が少なくなって脳貧血を起こしたり、
心臓に戻る血液の量が少なくなって心拍数が増え、動悸などの症状が現れます。
子どもの自律神経機能は成長するにしたがって発達しますが、基本的な要素は親から受け継いで
いるものです。
起立性調節障害の子どもの場合、家族のなかに同じような症状をもつ人が約80%いることが
わかっています。家族の構成でみると、現在同じ症状をもっているか、過去に経験したことのある
母親が70%と高く、父親も25%が小児期に同様の症状を経験しています。
きょうだいにも約半数に同じ症状が現れています。こうしたことから起立性調節障害を起こす
低血圧体質は遺伝するものではないかともいわれています。
症状
激しい腹痛や立ちくらみが現れる
新生児室にいるときから動脈がうまく開かず、手足を流れる血液量が少ないため、手足が冷たい
乳児がいます。
このような子どもは、2歳を過ぎた頃から繰り返し強い腹痛を訴え始めます。しかし、5〜10分ほど
親におなかをさすってもらい、トイレに行くと症状がなくなります。食欲があり、体重も普通の子どもと
同じように増えているのに腹痛の症状は続きます。
腸の蠕動運動がうまく調節できないために痛むのではないかといわれていますが、成長に従って
起立性調節障害の兆候がはっきりしてきます。
元気なのにすぐに疲れたといっておんぶや抱っこを求めるのは、幼児の起立性調節障害の兆しです。
2〜3歳になると乗り物酔いをするようになり、5〜6歳からは、立ちくらみやめまいが起きて、
入浴時に気分が悪くなったりします。さらに、少し動くと動悸や息切れがするなどの
症状が現れてきます。
一般的には10歳くらいから起立性調節障害の症状が現れることが多く、特に胸の痛みを訴える
子どもが増えてきます。
高校生になると、男子の約75%は症状が現れなくなりますが、女子の場合は約40%にとどまり、
大人になっても起立性調節障害が続くことがあります。
脳腫瘍の初期症状や鉄欠乏性貧血などの病気でも、起立性調節障害によく似た症状が現れます。
立ちくらみを繰り返す場合は、まず医師の診察を受けることが大切です。
診断
問診や心電図でほかの病気もチェック
診断は問診と起立試験、一般検査で行いますが、特に問診が重要です。
[問診]
問診では寝起きや午前中の体調が悪くないか、特に新学期に調子が悪いなどの症状がないかを
聞かれます。また、家族に同じような症状をもった人がいるかも尋ねられます。
次に、立ちくらみやめまいを起こしやすい、立っていると気分が悪くなりひどいときは倒れる、
入浴時や嫌なことを聞いたときに気分が悪くなる、少し動くと動悸や息切れがするなどの、
起立性調節障害特有の症状があるかどうかも鑑別のために聞かれます。
また顔色のほか、食欲、強い腹痛、乗り物酔いなどの有無も診断の重要なポイントです。
[起立試験]
起立試験は、安静にしているときと立っているときの脈拍数と血圧を測り、心電図をとります。
試験結果は、起立性調節障害の診断をする際に、問診に対する客観的データとなります。
安静時に比べて立っているときの脈圧の低下が著しい、収縮期血圧低下が目立つ、脈拍が
1分間に21以上増えるなどの検査結果が出れば、起立性調節障害の可能性があります。
[検査]
起立性調節障害の診断には、ほかに病気がないことをはっきりさせる鑑別診断が大切になります。
貧血や心疾患、結核などのほか、慢性副鼻腔炎といった慢性感染症、てんかんについても
調べます。
必要に応じて、血球数や炎症反応などを調べる血液生化学検査、尿検査、胸部X線検査などを
行います。一連の検査でほかの病気でないことを確認のうえ、最終的に起立性調節障害と
診断して治療を開始します。
治療
最後に治療についてお話しします。
治療は、子どもと保護者の心に思いを馳せて、行ってください。
治療の導入に際してまず行うことは、
ODの発症機序を子どもと保護者に十分に理解してもらうことです。重症のODの子どもは強い不安を持っています。
強い症状に対する不安、周囲から仮病扱いされることへの苛立ち、さらに親子関係における様々な葛藤、学校生活でのトラブル、学校不信といった心理社会的背景を抱えています。
医療者は、このような子どもの心のうちを理解した上で、ODとは、どのような病気なのか、メカニズムも含めて十分に説明する必要があります。
たとえば、検査結果の血圧記録を示して子どもに説明すると、説得力があり、子どもは自分の症状の原因を知ったことで、ずいぶんと安心します。子どもと医療者の信頼関係が出来て、
その後の治療がすみやかになります。
一方、保護者に対しては、OD症状を単なる仮病と見なさないように、説得します。
ODの子どもは、放っておくと一日中、ごろごろして、テレビやゲームをしています。
勉強の集中力はひどく低下するので、周囲の大人はどうしても怠け癖と見なしてしまいます。
しかし、これは正しい考えではありません。
親に対しては、『決して焦らず、子どもを信じて見守る』ことの重要性を説得しましょう。
具体的な日常生活の注意点軽症例では、非薬物療法から開始します。
運動療法では、散歩程度の歩行にします。
ODの多くは運動が嫌いですが、横になりっぱなしならないようにします。
また心拍数が120を越えない程度の軽い運動は毎日行います。
起立時には、いきなり立ち上がらずに、30秒程かけてゆっくり起立します。
また歩き始める時にも、頭位を前屈させれば、脳血流が低下しないので起立時の失神を予防
できます。
また起立中には、足踏みをしたり、両足をクロスに交叉すると血圧低下が防げます。
早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを心掛けるようにしますが、これは実行困難です。
声かけ程度にしておきます。
気温の暑い場所は避けましょう。高温の場所では、末梢血管は動脈、静脈とも拡張し、
また発汗によって脱水をおこし、血圧低下を来します。体育の授業を見学させる時は、
必ず保健室などの室内において、座って待機するようにします。
下半身への血液貯留を防ぎ、血圧低下を防止する装具があります。
弾性ストッキングやODバンドのような加圧式腹部バンドは、適切に利用すると効果があります。
食事の注意点ですが、ODの子どもは塩辛いものを好みません。
循環血漿量を増やすため、やや多めの食塩摂取は効果があります。
薬物療法非薬物療法で改善しない場合、あるいは、起立保持が困難で日常生活に支障を来たしている重症例では、薬物療法も併用します。
薬物療法を世界的に見ると、現在では、ミドドリンが最も多く使われています。
抵抗血管である細動脈と、容量血管である静脈の両方に作用し、
かつ副作用が少ないため使い易いです。1回2mgを1日2〜3回服用します。
ジヒドロエルゴタミンは1mgを早朝起床前、昼食後2回服用する。
静脈血管を特異的に収縮させます。アメジニウムは10mgを朝夕食後2回服用します。
これは心拍増加をきたして症状が悪化することがありますので、注意が必要です。
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